2026/3/19
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21世紀 海洋国家・日本を構想する思考実験としての「離島モデル」を考える|久米島視察 実施報告
3月3日〜4日に、PPIフォーラムのWorkshop Excursion企画として、「21世紀 海洋国家・日本を構想する思考実験としての『離島モデル』
■ 本企画の趣旨(代表理事・竹村 眞一より)
“21世紀 海洋国家・日本を構想する思考実験としての「離島モデル」を考える” | 久米島視察
離島は「海」に囲まれているがゆえに、災害時や有事といった「もしも」を想定し、 一定程度の自立的な資源循環型の社会OSを確保しておく必要があります。これは、地政学的に見れば、日本全体が置かれている状況の縮図でもあります。
21世紀的な社会OSとしての「離島モデル」を構想することは、 すなわち日本の未来をデザインするための重要な思考実験となるはずです。
しかし今回の久米島視察、そこでの未来産業の着実なインキュベーションを拝見し、「離島モデル」の意義はそれだけにとどまらないーーあらためて離島を「未来にむけて離陸する島」と読み替えるべきではないか?と感じた次第。
海洋温度差発電、その副産物であるミネラル豊かな深層水のカスケード利用、環境負荷の高い陸上農業を代補する海洋(藻類)農業の可能性・・。その数々の未来シーズの萌芽を、新年度のPPIフォーラムでもより詳しく展開して参りたいと思います。
充実した視察ツアーをコーディネートいただいた前田所長はじめNTT宇宙環境エネルギー研究所の皆様に深く御礼申し上げます。
■ 日程・内容
【事前勉強会】2026年2月27日(金)
佐賀大学 海洋エネルギー研究センター 池上康之教授をお招きし、海洋温度差発電(OTEC)に関するレクチャーを実施いただきました。参加者同士のディスカッションも活発に行われ、久米島の取り組みと海洋資源の可能性について理解を深めました。


【久米島視察】2026年3月3日(火)〜4日(水)
現地・久米島では、海洋深層水関連施設の視察や、地域関係者との対話を通じて、資源循環型の社会の実装に向けた具体的な取り組みを体感しました。「離島」という制約環境だからこそ見えてくる社会OSのあり方について、多角的な視点から議論が深まりました。
▼ 主な訪問先
3月3日(火)
■藻類研究_ロート製薬
今後この水圏植物の『作物化』が陸上植物並みに進展すれば、理論上は400兆円を超える巨大な潜在市場が創出されるものと期待されています。「ガリガリ君」の水色も藻類の一種であるスピルリナから抽出されているそうです。



△ロート製薬 藻農園、くめじまーるcaféにて。南都酒造所が製造した、海洋深層水仕込みのクラフトビール。
■海ぶどう養殖所
3月4日(水)
■久米島町役場訪問(桃原町長、中村副町長表敬訪問)
■海洋深層水研究所・海洋温度差発電実証施設
海洋温度差発電(OTEC)により組み上げられた海洋深層水の利活用(牡蠣/海ブドウ/車海老の養殖、化粧品化など)により25億円/年の事業規模を創出しています。

■GOファーム(完全陸上養殖の牡蠣)
従来の紫外線殺菌海水による浄化では牡蠣の内臓に付着したウイルスの完全除去が困難という課題に対し、GOファームは海洋深層水の清浄性を活用した「あたらない安全な牡蠣」の実現を目指しています。餌となる藻類が不足するという深層水の弱点を克服すべく、その富栄養性を活かした独自の微細藻類培養技術を確立することで、世界初となる完全陸上養殖に成功しています。

■米島酒造(泡盛)

△壁の黒いカビはすべて黒麹

本視察を通じて、海洋資源の高次活用や自立循環型の社会設計といったテーマが単なる構想にとどまらず、すでに現場で実装されつつあることを体感し、日本の未来を構想するうえでの重要な示唆を得る機会となりました。
1.海洋資源の高次活用
(海洋温度差発電〈OTEC〉、食料・エネルギー資源としての藻類活用、 海上「浮体式」都市モデル、魚礁を形成し漁業や観光資源ともなる風力発電 など)
2.自立循環型の社会OS設計
(生ゴミ・糞尿の循環活用や肥料化による食料自給、 住居・建物単位での実装を目指す Disponics/垂直菜園、 水循環と窒素汚染抑止、再生プラスチック革命 など)
これらは、近未来の海洋・離島における都市設計やリゾート開発の指針であると同時に、海洋国家・日本の未来の「青写真」となるでしょう。食料・肥料・エネルギーなど、あらゆる資源の自給率が低く、気候変動や有事に対して極めて脆弱な日本――。
今回のホルムズ海峡危機であらためてクローズアップされた、この構造的な課題を2030年代にむけて解決してゆくための重要なヒントが、久米島に代表される「離島」モデルに見ることができます。
石垣島・久米島・五島列島などを舞台に今後進められる PPIイノベーションの先端的な実験動向も紹介しつつ、 「離島モデル」をキーワードとする新たな国家・社会OS再設計の方向性を今後PPIフォーラム+ワークショップを通じて探ってまいります。
引き続き、今後のプログラムにご期待ください。
